SECTION 03

プロンプトエンジニアリング基礎

AIの能力を最大限引き出す「指示の技術」

LCREATOR.Inc Google AI 研修プログラム 2026

SECTION 03

プロンプトとは?

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プロンプト = AIへの「指示文」

AIに対して「何をしてほしいか」を伝える文章のことです。チャット欄に入力するテキストそのものがプロンプトです。

レストランの「注文の仕方」で料理(出力)が変わるように、AIも「指示の仕方」で回答の質が大きく変わります。

💡
ポイント: プロンプトは特別なプログラミング言語ではありません。普段使っている日本語で書けます。ただし「書き方のコツ」があります。
レストラン注文の比喩イメージ

身近な例で考えると...

曖昧な注文「何かおいしいもの」
明確な注文「辛さ控えめのマルゲリータ、Mサイズ」
プロの注文「生地は薄め、モッツァレラ多め、バジル追加で」

SECTION 03

なぜプロンプト設計が重要なのか?

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入力の質 = 出力の質

AIは「統計的な鏡」です。曖昧な指示には平均的な回答、緻密な指示には専門家レベルの成果物を返します。同じAIモデルでも、プロンプト次第で結果は100倍違います。

30%
曖昧な指示の
能力活用率
100%
構造化指示の
能力活用率
プロンプト設計を学ぶことで、誰でもAIから高品質な回答を引き出せるようになります。

プロンプトが変えるもの

🎯

回答の精度

的外れな回答がなくなり、欲しい情報にピンポイントで到達

作業時間

やり直し回数が激減。30秒のプロンプト投資で5分の手戻りを防止

👥

組織の均一化

誰が使っても同じ品質の回答が出る「組織の武器」になる

SECTION 03

悪い指示 vs 良い指示:比較デモ

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❌ 悪い指示
企画書作って
AIの回答:
「以下は企画書の例です。
1. 目的: ...
2. 概要: ...
3. スケジュール: ...」

→ ありきたりで、使い物にならない汎用テンプレート
✅ 良い指示
# 役割 あなたは新規事業開発の専門コンサルタントです。 # 背景 当社は従業員50名のIT企業。新規SaaS事業を検討中。 # 任務 中小企業向けの業務効率化SaaSの企画書を作成してください。 # 制約 - 初期投資500万円以内 - 3ヶ月で MVP リリース可能な規模 # 出力形式 Markdown形式、見出し付き
→ 具体的で、即座にレビューできるレベルの企画書が生成
Time ROI: プロンプトに「プラス30秒」かけるだけで、AIの回答を「3回やり直す手間(5分)」が消えます。

SECTION 03

プロンプトの黄金律「5要素」

04 / 32
👤

1. 役割

Persona
AIの立場・専門性を指定する

📜

2. 背景

Context
なぜ必要かの状況を伝える

🎯

3. 任務

Task
何をしてほしいか明確な動詞で

🚫

4. 制約

Constraint
NG項目や条件で範囲を絞る

📄

5. 出力形式

Format
表・箇条書き・JSON等を指定

この5つの要素を意識するだけで、AIの回答品質は飛躍的に向上します。まずは「役割」と「任務」から始めましょう。

SECTION 03 - 5要素詳解

要素1: 役割(Persona)

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「あなたは○○の専門家です」の威力

AIに「役割」を与えると、その分野の知識や語調を最大限に活用して回答します。同じ質問でも、役割を変えるだけで全く異なる視点の回答が得られます。

具体例3つ

💼

マーケティング戦略家

「あなたはBtoB SaaSのマーケティング戦略家です」→ 市場分析の視点で回答

👩‍🏫

小学校の先生

「あなたは小学5年生に教える先生です」→ 分かりやすい言葉で解説

⚖️

顧問弁護士

「あなたは企業法務の顧問弁護士です」→ 法的リスクの観点で分析

役割の有無で回答はこう変わる

// 役割なし 「売上を伸ばす方法を教えて」 → AIの回答: 一般的な教科書通りの回答 「広告を増やす」「SNSを活用する」...
// 役割あり 「あなたは年商100億円企業を3社育てた シリアルアントレプレナーです。 売上を伸ばす方法を教えて」 → AIの回答: 実践的で具体的な戦略 「LTV/CACの改善から着手し...」 「既存顧客のアップセルで...」
⚠️
役割は「具体的」であるほど効果的です。「専門家」より「BtoB SaaS営業10年のベテラン」の方が精度が上がります。

SECTION 03 - 5要素詳解

要素2: 背景(Context)

06 / 32

「なぜ」を伝えると精度が上がる

AIは状況が分からないと「汎用的な回答」しかできません。背景情報を伝えることで、あなたの状況にぴったりの回答を返してくれます。

背景に含めるべき情報

  • 業界・業種: IT、製造、サービス等
  • 対象者: 誰向けの成果物か
  • 目的: なぜこの作業が必要か
  • 現状の課題: 何に困っているか

背景の有無で変わる回答

背景なし
「研修の案内メールを書いて」

→ 誰宛か、何の研修か不明で汎用的な文面に

背景あり
# 背景 当社は従業員80名のWeb制作会社です。 来月、全社員向けにAI活用研修を初めて実施します。 社員のITリテラシーはバラバラで、 中にはAIに不安を感じている人もいます。 # 任務 参加を促す案内メールを書いてください。

→ 不安への配慮を含んだ、温かみのある案内文が生成

SECTION 03 - 5要素詳解

要素3: 任務(Task)

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動詞を明確にする

「○○について教えて」は曖昧です。「要約せよ」「比較せよ」「提案せよ」のように、具体的な動詞で指示しましょう。

効果的な動詞リスト

動詞用途具体例
要約せよ長文の要点整理「この議事録を要約せよ」
比較せよ複数の選択肢評価「A案とB案を比較せよ」
提案せよアイデア創出「改善策を3つ提案せよ」
分析せよデータの傾向把握「売上データを分析せよ」
翻訳せよ言語変換「英語に翻訳せよ」
添削せよ文章の改善「ビジネスメールを添削せよ」

💡 「教えて」の落とし穴

「マーケティングについて教えて」だと、AIは教科書的な説明を延々と返します。「当社のSNSマーケティング戦略を3つ提案せよ」なら、行動に直結する回答が返ります。

複数タスクの指示方法

# 複数の任務を番号で整理 以下の3つのタスクを順番に実行してください。 1. この文章の誤字脱字を指摘せよ 2. 文章のトーンをビジネス向けに修正せよ 3. 修正前後の変更点を表形式で一覧化せよ
📜
複数のタスクは番号をつけて分けると、AIが漏れなく対応してくれます。

SECTION 03 - 5要素詳解

要素4: 制約(Constraint)

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「やらないでほしいこと」を伝える

制約は「AIの自由度を適切に絞る」ためのものです。自由すぎるとAIは迷い、的外れな回答をしがちです。

よく使う制約の種類

📏

文字数制限

「300文字以内で」「1分で読める長さで」

🚫

禁止事項

「専門用語は使わない」「英語は含めない」

🎯

対象者レベル

「IT初心者でも理解できるように」

📊

数量指定

「ポイントを5つに絞って」「3案提示して」

制約の実践例

# 制約の書き方 以下の制約を守って回答してください。 - 専門用語は使わず、中学生でも分かる言葉で - 箇条書きで5項目以内 - 各項目は2行以内 - 具体的な数字やデータを含める - 「~と思います」等の曖昧な表現は禁止
⚠️
注意: 制約が矛盾していると、AIは混乱します。「詳しく書いて」と「200文字以内」を同時に指定しないようにしましょう。

コツ: 最初は制約を少なめにして、回答を見てから「もっと短く」「もっと具体的に」と追加で絞っていくのも有効です。

SECTION 03 - 5要素詳解

要素5: 出力形式(Format)

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「どんな形で出してほしいか」を指定

出力形式を指定しないと、AIは長い文章で返すことが多いです。用途に合った形式を指定することで、そのまま使える成果物が得られます。

主な出力形式

形式用途
箇条書きポイント整理、チェックリスト
表(テーブル)比較、データ整理
Markdownドキュメント、レポート
JSONシステム連携、データ処理
メール文面そのまま送信できる形
スクリプトコード生成(GAS, Python等)

出力形式の指定例

# 表形式で出力 以下の情報を「Markdown表」で出力してください。 列: | 項目名 | メリット | デメリット | 推奨度 |
# JSON形式で出力 以下のJSON形式で出力してください。 { "title": "タイトル", "summary": "要約(100文字以内)", "key_points": ["ポイント1", "ポイント2"], "action_items": ["TODO1", "TODO2"] }
💡
上級テクニック: 出力例をひとつ見せると、AIはその形式を完璧に真似します。「以下の形式で出力してください: [例]」

テクニック編

AIの回答精度をさらに高める実践的テクニック

SECTION 03 - テクニック

Zero-Shot プロンプト

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事例なしで指示する方法

Zero-Shotとは「お手本(事例)を見せずに、指示だけで回答させる」方法です。最もシンプルで、日常的に使うプロンプトの大半がこれです。

メリットとデメリット

メリット: 手軽、素早い、プロンプトが短い

⚠️ デメリット: 出力形式やトーンにばらつきが出やすい

Zero-Shotの例

# シンプルな Zero-Shot 「以下のメールを丁寧な日本語に書き直してください。 やあ田中さん、例の件だけど来週までに なんとかしてもらえる?よろしく。」
💡
Zero-Shotでも「5要素」を意識すれば十分に高品質な回答が得られます。

いつ使うべき?

  • 一般的な質問や相談
  • フォーマットにこだわらない場合
  • 素早くアイデアが欲しい場合

SECTION 03 - テクニック

Few-Shot プロンプト

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「お手本」を見せて精度を上げる

Few-Shotとは「入力 → 出力の例を2~3個示してから、本番の質問をする」テクニックです。言葉で説明するより、1つの正解例を見せる方がAIは正確に動きます。

🎯 効果: 出力のフォーマット、トーン、粒度が安定し、ばらつきが大幅に減少します。

Few-Shotは「自社独自のトーン」「特定のフォーマット」を再現したい時に最強のテクニックです。

Few-Shot テンプレート例

# お客様の問い合わせに定型回答するFew-Shot ## 例1 入力: 「納期はいつですか?」 出力: 「お問い合わせありがとうございます。 通常、ご注文から5営業日以内に発送いたします。 お急ぎの場合はお電話ください。」 ## 例2 入力: 「返品できますか?」 出力: 「お問い合わせありがとうございます。 商品到着後7日以内であれば返品を承ります。 返品ポリシーの詳細はこちらをご確認ください。」 ## 本番 入力: 「送料はいくらですか?」 出力:

SECTION 03 - テクニック

Chain of Thought(思考の連鎖)

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「ステップバイステップで考えて」の魔法

Chain of Thought(CoT)は、AIに「答え」だけでなく「考えるプロセス」を出力させるテクニックです。これにより、複雑な問題での論理ミスが劇的に減ります。

魔法のフレーズ:
「ステップバイステップで順を追って考えてください」

効果が高い場面

  • 数字を使った計算や分析
  • 複数の条件がある意思決定
  • 原因の特定や問題解決
  • 論理的な文章の構成

通常 vs CoTの比較

通常の回答パス

問題 → ??? → ❌ 誤答や浅い回答

CoTの回答パス

問題 → 1.要素分解 → 2.論理チェック → 3.検証 → ✅ 正答
# CoTプロンプトの例 あるプロジェクトの予算が1,000万円です。 人件費が40%、設備費が25%、外注費が20%です。 残りの予算はいくらですか? ステップバイステップで計算してください。 # AIの思考プロセス: 1. 総予算: 1,000万円 2. 人件費: 1,000 x 0.4 = 400万円 3. 設備費: 1,000 x 0.25 = 250万円 4. 外注費: 1,000 x 0.2 = 200万円 5. 残り: 1,000 - 400 - 250 - 200 = 150万円

SECTION 03 - テクニック

CoTの実践例: 複雑な問題を分解して解く

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ビジネス判断の例

# プロンプト 当社は以下の2つの新規事業案を検討中です。 ステップバイステップで分析し、 どちらに投資すべきか判断してください。 案A: AI翻訳SaaS - 初期投資: 3,000万円 - 想定月額売上: 500万円(6ヶ月後) - 競合: 5社 案B: 社内DXコンサル - 初期投資: 800万円 - 想定月額売上: 300万円(3ヶ月後) - 競合: 15社
💡
CoTを使うと、AIは「投資回収期間」「競合優位性」「リスク」など多角的に分析してくれます。

AIの思考プロセス(CoTの出力例)

1

投資回収期間の比較

案A: 3,000万 / 500万 = 6ヶ月 + 立ち上げ6ヶ月 = 計12ヶ月
案B: 800万 / 300万 = 2.7ヶ月 + 立ち上げ3ヶ月 = 計5.7ヶ月

2

競合環境の分析

案Aは競合5社で参入余地あり。案Bは競合15社で差別化が課題。

3

リスク評価

案A: 技術リスク高・市場成長期。案B: 低リスク・レッドオーシャン。

4

結論

短期的な安定収益は案B、中長期の成長は案A。リスク許容度に応じて選択。

SECTION 03 - テクニック

マルチターン対話: 一撃で決めず、磨き上げる

14 / 32

対話で品質を段階的に高める

一度のプロンプトで100点の回答が出ることは稀です。AIとの「往復」で段階的に精度を高めるのが実践的なアプローチです。

磨き上げの3ステップ

1回目
60点
2回目
85点
3回目
100点
💬
Geminiは過去の対話を記憶しているため、同じチャット内で何度でも修正を依頼できます。

対話の流れ(例)

新規事業の企画書のドラフトを作って
📄 【ドラフト生成】一般的な新規事業企画書の構成で出力... (60点)
リスク分析のセクションを追加して。競合との差別化ポイントも明記して
📈 【改善版】リスク分析と競合比較表を追加... (85点)
経営会議で使うので、結論ファーストで書き直して。3分で読める長さに
✅ 【最終版】エグゼクティブサマリー付き、簡潔版... (100点)

SECTION 03 - テクニック

フォローアップの技術

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AIの回答を改善するための「追加指示フレーズ」を覚えておきましょう。

🔍 深掘り系

  • 「もっと具体的に説明して」
  • 「具体的な数字やデータを入れて」
  • 「なぜそう言えるのか根拠を示して」

⚠️ 批判的視点系

  • 「リスクやデメリットも指摘して」
  • 「反論があるとすれば何?」
  • 「見落としている観点はない?」

📄 形式変更系

  • 「表形式に変換して」
  • 「箇条書きにまとめて」
  • 「1分で読める要約にして」

🎯 対象者変更系

  • 「中学生でも分かるように書き直して」
  • 「経営層向けに要約して」
  • 「技術者向けに詳細化して」

フォローアップの質が高い人ほど、AIから引き出す成果物の品質が高い。「最初の質問」と同じくらい「追加の指示」が重要です。

実践編

業務で今すぐ使えるプロンプト実例集

SECTION 03 - 実践

実践1: ビジネスメールの作成

PRACTICE 1

プロンプト設計

# 役割 あなたはビジネスメールの専門ライターです。 # 背景 先方の納品物に軽微な不具合がありました。 関係は良好で、今後も取引を続けたいです。 # 任務 不具合の指摘と修正依頼のメールを作成してください。 # 制約 - 相手を責めるトーンは避ける - 具体的な不具合箇所を明記する - 修正希望日を提示する - 200文字程度 # 出力形式 件名 + 本文のメール形式で出力

AIの出力例

mail.google.com

件名: 納品物の一部修正のお願い


株式会社○○ 田中様

いつもお世話になっております。
先日納品いただいた資料につきまして、P.15の売上データに一部誤りがございましたのでご確認いただけますでしょうか。

お忙しいところ恐縮ですが、来週金曜日(4/4)までに修正版をいただけますと幸いです。

引き続きよろしくお願いいたします。

5要素を全て含んだプロンプトで、そのまま送信できるレベルのメールが生成されました。

SECTION 03 - 実践

実践2: 議事録の要約

PRACTICE 2

プロンプト設計

# 役割 あなたはプロジェクトマネージャーのアシスタントです。 # 任務 以下の会議の議事録から、次の情報を抽出してください。 # 出力形式 1. 決定事項(箇条書き) 2. TODO(誰が・何を・いつまでに) 3. 保留事項(次回持ち越し) 4. 要約(3行以内) # 制約 - 発言者の意見と事実を区別する - 曖昧な表現は「要確認」と注記する # 議事録 (ここに議事録を貼り付け)

AIの出力例

✅ 決定事項

  • 新プロジェクトの開始日は4月14日
  • 予算上限は500万円

📝 TODO

田中見積取得4/7まで
佐藤要件定義書作成4/10まで
鈴木顧客ヒアリング4/7まで

⌛ 保留事項

  • 外注先の選定(見積比較後に決定)

💡 効果: 1時間の会議録を30秒で構造化。会議直後のアクション着手を加速。

SECTION 03 - 実践

実践3: 企画書のブレインストーミング

PRACTICE 3

プロンプト設計

# 役割 あなたは連続起業家(シリアルアントレプレナー) です。中小企業のDX支援を10年経験しています。 # 背景 従業員30名の印刷会社が、紙媒体の売上減少に 直面し、新規デジタル事業を模索中です。 # 任務 印刷会社の強みを活かした新規事業アイデアを 5つ提案してください。 # 制約 - 初期投資300万円以内で実現可能なもの - 既存の顧客基盤を活用できるもの - 差別化ポイントを必ず明記 # 出力形式 Markdown表: 事業名 | 概要 | 初期投資 | 差別化点 | 収益モデル

AIの出力例(一部)

事業名概要差別化点
デジタルカタログSaaS 紙カタログのデジタル版制作・配信 紙からの移行ノウハウ
名刺DXサービス 紙名刺 + デジタル名刺のセット提供 印刷+IT一括対応
DMパーソナライズ AI分析による1to1 DM制作 データ活用+印刷品質
💡
ブレストのコツ: まず広くアイデアを出させてから、「2番目のアイデアを深掘りして」「収支シミュレーションを出して」とフォローアップで絞り込みます。

背景 + 制約を入れることで、「どこかで見たような」ではなく「御社に合った」提案が出ます。

SECTION 03 - 実践

実践4: データ分析の指示

PRACTICE 4

プロンプト設計

# 役割 あなたはデータアナリストです。 # 背景 当社のECサイトの売上データ(CSV)があります。 直近3ヶ月で売上が15%減少しています。 # 任務 以下のデータを分析し、 売上減少の原因仮説を3つ提示してください。 # 制約 - 各仮説に対する検証方法も提示すること - 改善アクションも含めること # 出力形式 仮説ごとにセクション分けしてMarkdownで出力 # データ (CSVデータを貼り付け、 またはGeminiにファイルをアップロード)

分析結果の例

仮説1: リピート率の低下

新規顧客は増加しているが、2回目購入率が前年比-20%。検証: コホート分析で購入間隔を確認

仮説2: 客単価の低下

平均注文金額が3,200円→2,800円に。検証: 商品カテゴリ別の購入データを分析

仮説3: 流入チャネルの変化

検索流入が-30%。検証: Google Analytics のチャネル別レポートを確認

⚠️
注意: AIのデータ分析結果は「仮説」です。必ず実データで検証してから意思決定してください。AIは傾向の発見と仮説立てが得意です。

Geminiの強み: ファイルアップロードでCSV/Excelを直接読み込ませて分析できます。

SECTION 03 - 実践

実践5: コード生成(GASスクリプト)

PRACTICE 5

プロンプト設計

# 役割 あなたはGoogle Apps Script (GAS) の専門家です。 # 背景 毎月、スプレッドシートのデータを集計して 上司にメールで報告しています。手作業で30分 かかっており、自動化したいです。 # 任務 以下の処理を行うGASスクリプトを作成してください。 1. シート「売上データ」のB列を合計する 2. 結果をメール本文に含めて送信する 3. 毎月1日の朝9時に自動実行する設定方法も記載 # 制約 - コメント付きで初心者でも理解できるように - エラーハンドリングを含める

AIの出力例(抜粋)

GAS function sendMonthlyReport() { // スプレッドシートを取得 const ss = SpreadsheetApp .getActiveSpreadsheet(); const sheet = ss.getSheetByName('売上データ'); // B列のデータ範囲を取得して合計 const data = sheet .getRange('B2:B') .getValues() .flat() .filter(v => v !== ''); const total = data .reduce((sum, v) => sum + v, 0); // メール送信 const to = 'boss@example.com'; const subject = `月次売上報告`; const body = `今月の売上合計: ¥${total.toLocaleString()}`; MailApp.sendEmail(to, subject, body); }
非エンジニアでもOK: 「やりたいこと」を明確に伝えれば、実用的なコードが生成されます。コピペして使えます。

SECTION 03 - 応用

変数化テクニック: 再利用性UP

16 / 32

{{変数}}でプロンプトを使い回す

プロンプトの中で変わる部分を {{変数名}} で記述しておくと、毎回ゼロから書く必要がなくなります。

変数化のメリット

  • 時間短縮: 毎回同じ構造を書かなくて良い
  • 品質安定: テンプレート化で回答品質が均一に
  • チーム共有: 部署で共有して全員が使える
  • セキュリティ: 機密情報だけ手元で差し替え可能

変数化テンプレートの例

# お詫びメールテンプレート あなたはカスタマーサポートの責任者です。 以下の情報をもとに、お詫びのメールを作成してください。 - 顧客名: {{顧客名}} - 問題の内容: {{問題の内容}} - 発生日: {{発生日}} - 対応策: {{対応策}} - 担当者名: {{担当者名}} 制約: - 誠意を持ちつつも、法的責任は限定する表現で - 再発防止策を必ず含める
⚠️
セキュリティ: 社名や金額などの機密情報は {{変数}} のまま保存し、AIに送る直前に差し替えると安全です。

SECTION 03 - 応用

プロンプトテンプレートの作り方

17 / 32

チームで共有する「標準プロンプト」を設計する手順です。

1

業務の洗い出し

AIに任せたい定型業務をリストアップ(メール作成、報告書要約、翻訳など)

2

5要素で構造化

各業務に対して役割・背景・任務・制約・出力形式を定義

3

変数箇所を特定

毎回変わる部分を {{変数}} に置き換え

4

テスト & 改善

実際に使ってみて、回答品質を確認。制約やFew-Shotを追加して精度を向上

テンプレート管理のTips

📄

Googleドキュメントで管理

テンプレートを共有ドキュメントにまとめ、誰でもコピペで使えるように

Gemini Gemsに登録

よく使うプロンプトはGeminiのGems機能で保存しておくと便利

📈

バージョン管理

改善したらv1.0、v1.1...とバージョンを記録し、変更履歴を残す

チームの武器: プロンプトテンプレートは「組織のナレッジ資産」です。個人のスキル差をテンプレートが埋めてくれます。

SECTION 03 - ハンズオン

ハンズオン: 5要素プロンプトを書いてみよう

HANDS-ON 1
1

Geminiを開く

gemini.google.com にアクセスし、新しいチャットを開始してください。

2

課題を選ぶ

以下のいずれかを選んでください:
A) 自分の業務紹介メールを作成
B) 来週の会議のアジェンダを作成
C) 新人研修の案内文を作成

3

5要素でプロンプトを構成

右のテンプレートを参考に、5要素を全て含んだプロンプトを書いてください。

4

比較してみる

同じ課題を「一行の指示」と「5要素の指示」で試し、回答の違いを確認してみましょう。

テンプレート(コピペして使えます)

# 役割 あなたは {{専門分野}} の専門家です。 # 背景 {{状況の説明を2~3文で}} # 任務 {{具体的にやってほしいことを動詞で}} # 制約 - {{制約1: 文字数や対象者レベル}} - {{制約2: NGワードや禁止事項}} - {{制約3: その他の条件}} # 出力形式 {{箇条書き / 表 / メール形式 等}}
💡
ヒント: まず「役割」と「任務」だけ書いてみて、回答を見てから「制約」「出力形式」を追加するのも良い練習です。

SECTION 03 - ハンズオン

ハンズオン: Few-Shotで精度を比較しよう

HANDS-ON 2

課題: 商品レビューの感情分析

STEP 1: Zero-Shotで試す
以下のレビューが「ポジティブ」「ネガティブ」 「中立」のどれか判定してください。 レビュー: 「デザインは気に入っているが、 バッテリーの持ちがイマイチ」

→ 回答がブレやすい(「中立」「ややネガティブ」など)

📝
Zero-Shotの結果をメモしておいてください。次にFew-Shotと比較します。
STEP 2: Few-Shotで試す
以下のルールでレビューを分類してください。 ## 例 入力: 「最高!毎日使ってます」 出力: ポジティブ 入力: 「すぐ壊れた。二度と買わない」 出力: ネガティブ 入力: 「普通。可もなく不可もなく」 出力: 中立 ## 本番 入力: 「デザインは気に入っているが、 バッテリーの持ちがイマイチ」 出力:

→ 判定基準が安定し、回答がブレにくくなる

🎯 確認ポイント: Zero-Shotと比べて、Few-Shotの方が判定が安定していることを体感してください。

SECTION 03 - ハンズオン

ハンズオン: CoTで複雑な判断をさせよう

HANDS-ON 3

課題: 出張費の承認判断

# 以下のプロンプトをGeminiに入力 あなたは経理部門の承認担当者です。 以下の出張申請を、社内規定に基づいて 承認すべきか判断してください。 【社内規定】 - 国内出張の宿泊上限: 12,000円/泊 - 交通費は実費精算(グリーン車は部長以上) - 日帰り可能な距離(片道2時間以内)は 原則として宿泊不可 【申請内容】 - 申請者: 営業課 田中(一般社員) - 目的地: 大阪(東京から新幹線2時間半) - 宿泊: 1泊 15,000円のビジネスホテル - 交通費: グリーン車 往復36,000円 - 会議時間: 14:00〜17:00 ステップバイステップで各項目を 規定と照合し、判断してください。

AIの回答(CoTプロセス)

1

宿泊の必要性チェック

片道2時間半 > 2時間 → 宿泊可能条件を満たす ✅

2

宿泊費チェック

15,000円 > 上限12,000円 → ❌ 上限超過

3

交通費チェック

一般社員がグリーン車 → ❌ 規定違反(部長以上のみ)

4

総合判断

差し戻し。 宿泊費を12,000円以内に変更、普通車に変更して再申請を依頼。

💡
CoTにより、各規定との照合プロセスが可視化され、判断の根拠が明確になります。

SECTION 03 - まとめ

プロンプト・マイスター十戒

MASTERY
1
役割を与えよ。
AIに専門家の仮面をかぶせる
2
背景を語れ。
なぜ必要なのかを伝える
3
動詞で命じよ。
「教えて」より「比較せよ」「提案せよ」
4
制約で縛れ。
自由すぎるとAIは迷う
5
形式を定めよ。
出口のデザインまで指定する
6
事例(ショット)を打て。
最強の教育は手本を見せること
7
段階的に考えよ。
ステップバイステップで精度UP
8
往復を厭うな。
対話で磨き上げるのがプロの技
9
変数を使いこなせ。
安全とテンプレート化の盾を忘れない
10
鵜呑みにするな。
最後の責任者は常に人間である

この十戒をブックマークし、AIと向き合うたびに振り返ってください。

SECTION 03 - まとめ

よくある失敗パターン

18 / 32

❌ 曖昧すぎる指示

「いい感じのやつ作って」 「なんかアイデアちょうだい」 「分かりやすくして」

問題: 「良い」「いい感じ」の基準が不明。AIは平均的な回答しか返せない。
対策: 具体的な条件(文字数、対象者、用途)を明記する。

⚠️ 情報過多

「あれもこれも考慮して 10個の観点から分析し かつ3つの形式で出力し さらに...(延々と続く)」

問題: 情報が多すぎてAIが優先順位を見失う。
対策: 1回のプロンプトで1つのタスクに集中。複雑な作業はマルチターンで分割。

💥 矛盾する制約

「詳しく解説してください。 ただし100文字以内で。」 「専門的に書いてください。 中学生でも分かるように。」

問題: 相反する条件を同時に満たすのは不可能。
対策: 制約を書いたら、矛盾がないか一度読み返す。

💡 覚えておこう: AIがイマイチな回答をしたとき、原因の80%はプロンプト側にあります。AIを責める前に、自分の指示を見直しましょう。

SECTION 03

まとめ: 本セクションのキーポイント

SUMMARY

学んだこと

🔑

5要素の黄金律

役割・背景・任務・制約・出力形式の5つを意識するだけで回答品質が飛躍的に向上

🔨

3つのテクニック

Zero-Shot / Few-Shot / Chain of Thought を場面に応じて使い分ける

💬

マルチターン対話

一撃で完璧を目指さず、対話で段階的に磨き上げる実践的アプローチ

💾

テンプレート化

変数化 + テンプレート管理で、チーム全体のAI活用レベルを底上げ

明日からできること

  • まずは「役割」と「任務」を意識してプロンプトを書く
  • うまくいったプロンプトをメモに残す(テンプレート化の第一歩)
  • AIの回答に満足できなかったら「フォローアップ」で改善する
  • チームメンバーと良いプロンプトを共有する

プロンプトの質は「思考の深さ」を映す鏡です。AIを使いこなすことは、自分の思考を洗練させることと同義です。

セクション03 完了

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学習項目
18
ハンズオン
3
実践例
5
所要時間
45分
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